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利用者の声

ハウスを利用されたみなさまからお寄せいただいた感想やお便りなどの一部をご紹介いたします。


「お母さん、あと30分ほどで病院に着きますが、このままではお子さんはもたないかもしれません。かなり危険ですので覚悟してください。」救急隊員の言葉に「はい」と答えたものの覚悟したはずもなく機械的に口からでただけ。

娘が腹痛を訴えたのは緊急搬送された日の学校でした。初めは盲腸の疑いでした。でもCT検査の結果、盲腸とは確定できず、腹膜炎をおこしていることだけが分かりました。さらに大量の空気と腹水がたまっていることから胃か腸に穴が空いていることも。ほんの数時間のうちに熱と血圧が下がり血中酸素濃度が下がっていく。吐いても吐いても止まらない血の混ざった胃液。意識が薄れ会話することができなくなり目の焦点が合わなくなる。自分が見ているものを理解できぬまま病院に到着。ICUまで走り抜けた病院の廊下。一人で待ち続けた控え室。

一時間後、医師が来てかなり危機的な状態であることが伝えられました。
間違いなく胃か腸に穴があいているが場所が見つからないこと。
命のタイムリミットが迫っているため今から手術をすること。
穴がどこか分からないため盲腸部分から切り始め、穴がみつかるまで何時間でも切り進む試験開腹術になること。
体力的にも今の状況的にも手術中に死ぬかもしれないこと。
そして全てのリスクを考えた上でも今手術をしないと明日の朝は確実に迎えられないこと。
オペ室に向かう娘に「待ってるよ」と声をかけながらこれが最後かもしれないと撫でた娘のほほ。無限と感じるほど長かった6時間の手術を終え、生きて戻ってきた娘。「穿孔十二指腸潰瘍による腹膜炎」これが娘の病名です。この時点で原因は不明でした。

ハウスにチェックインしたのは娘が無事に手術室から戻ってきたのを見てから。私は主人を娘が1歳のときに亡くして以来、約10年一人で娘を育ててきました。その子の命が危ない。術後も腹膜炎の炎症が激しく今日を乗り越えられるかすら分からない状態でICUから出るメドもなく日々を生きるための闘いが始まりました。40時間以上眠らないままハウスにチェックインした私は一体どのように見えていたのでしょう。眠ることも食べることも出来ず気力だけで生きていた頃、ハウスのボランティアさんは娘を亡くすかもしれない私の恐怖や不安を、何も言わず何も聞かず優しい笑顔と快適な生活環境で受け止めてくれました。またハウスを利用している他のお母さんと話をすることで私一人だけが辛いんじゃないと思え、折れそうになる心を今一度奮い立たすことが出来ました。

一体どれだけど多くの子ども達がその小さな体にメスを入れ今日一日を生き抜くための闘いをし、どれだけ多くの親たちが我が子の無事を祈り眠れない夜を過ごしているのでしょう。親たちのその不安な気持ちが分かるから、祈るしかない辛さが分かるからこそもっと多くの人にハウスを知ってもらいたいと思います。このハウスにいた4週間はとてつもなく大きな不安と心配を抱えていた時期でした。でも数え切れないほど多くの人たちが静かにそっと差し伸べてくれた手に支えられた時期でもありました。

娘はまだこの病と闘わなければいけませんが私たちは気長にゆっくり治していこうと思っています。娘のお腹には10pを超える大きなキズと管を入れていたいくつもの穴のあとがつきました。でもそれは命をかけた闘いの名残でありかっこいいキズなんだと教えました。いま娘はそのキズを恥ずかしくも悲しくも思っていません。彼女が闘いに勝ち生き残った証と知っているから。

真冬のとても寒い夜に運ばれた娘は春の日差しの中、退院しました。

いつも温かな笑顔をくれたさっぽろハウスのみなさん、本当にありがとうございました。

京墓 亜希子

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