HOMEハウス利用者の声京墓亜希子さん

ハウス利用者の声

ハウスで過ごした時は、折れそうな心に手を差し伸べ、支えてくれた時間です。

2010年 11月19日 京墓亜希子さん

「お母さん、あと30分ほどで病院に着きますが、このままではお子さんはもたないかもしれません。かなり危険ですので覚悟してください。」救急隊員の言葉には「はい」と答えたけれど、それは言葉が機械的にでただけ、覚悟などできたはずもありません。この日の昼間、学校で腹痛を訴えた娘への診断は「盲腸の疑い」でした。しかしCT検査の結果、盲腸炎かどうかは確定できず、わかったことは腹膜炎をおこしていることだけ。
体内に大量の空気と腹水がたまっていることから、胃か腸に穴が空いていることもわかりました。
それからほんの数時間のうちに体温と血圧が下がり、血中酸素濃度も下がっていきます。娘は血の混ざった胃液を吐きつづけ、意識が薄れて話すこともできなくなり、目の焦点も合わなくなってしまいました。
自分が見ているものが現実とは思えず、まったく理解できぬまま、救急車は病院に到着しました。そして、娘に付き添って病院の廊下をICUまで走り抜け、控え室でひとり待つことになりました。

一時間後、医師から娘が危険な状態であることが伝えられました。胃か腸に穴があいているけれど、それがどこなのか見つからないこと。命のタイムリミットが迫っていること。穴の場所がわからないため、見つかるまで何時間でも切り進む試験開腹術になること。今の状況からも、体力的にも、手術中に死ぬかもしれないこと。それでも、今手術をしないと明日の朝は確実に迎えられないこと・・・。
オペ室に向かう娘に「待ってるよ」と声をかけながら、私は、これが最後かもしれないと娘の頬をなでました。
無限に続くように感じられた6時間がすぎ、娘は手術を乗り越えて生きて私の元に戻ってきてくれました。
娘の病名は「穿孔十二指腸潰瘍による腹膜炎」でしたが、この時点でも、原因は不明でした。

ハウスにチェックインしたのは、娘が無事に手術室から戻ってきたのを見た後のこと。40時間以上も眠らないまま、チェックインした私は、一体どのように見えていたのでしょう。ハウスのボランティアさんは、眠ることも食べることも出来ず、ただ気力だけで生きていた私を、娘を亡くすかもしれない私の恐怖や不安を、何も言わず何も聞かず、やさしい笑顔と行き届いた施設の生活環境で受け止めてくれました。

私は、娘が1歳のときに夫を亡くしてから10年の間、一人で娘を育ててきました。
その子の命が危ないのです。娘は、手術の後も腹膜炎の炎症が激しく、今日を乗り越えられるかすら分からない状態でした。ICUから出るメドもなく、日々を生きるために闘い続けていたのです。私が、折れそうな心を奮い立たすことができたのは、ハウスに滞在していたから、他の利用者のお母さんと話をすることができて、私一人だけが辛いんじゃないと励まされたからだと思います。

一体どれだけど多くの子ども達がその小さな体にメスを入れ、今日一日を生き抜くための闘いをし、どれだけ多くの親たちが、我が子の無事を祈り、眠れない夜を過ごしているのでしょう。私は、親の不安な気持ちが分かるから、祈るしかない辛さが分かるからこそ、もっと多くの人にハウスを知ってもらいたいと思います。
ハウスにいた4週間は、とてつもなく大きな不安と心配を抱えていた時間でしたが、数え切れないほど多くの人たちに助けられ、静かにそっと差し伸べてくれた手に支えられた時間でもありました。

娘はまだ治療中で、病と闘わなければなりません。でも、私たちは気長にゆっくり治していこうと思っています。娘のお腹には10㎝を超える大きなキズと管を入れていた穴のあとがつきましたが、それは命をかけた闘いの名残であり、かっこいいキズなんだと教えました。今、娘はそのキズを、恥ずかしいとも悲しいとも思っていません。彼女は、それが闘いに勝ち生き残った証と知っているからです。
真冬のとても寒い夜に運ばれた娘は、春の日差しの中退院しました。いつも温かな笑顔をくれた「さっぽろハウス」のみなさん、本当にありがとうございました。

  • 伊豆丸里美さん

    伊豆丸里美さん

    励ましあえるママたちに会えてすごく安心したんです。

  • 風間瑞穂さん

    風間瑞穂さん

    息子を産んでから、初めてほっとした瞬間でした。

  • 金本祥子さん

    金本祥子さん

    娘に笑顔で接することができるようになりました。

  • 佐藤奈津さん

    佐藤奈津さん

    子どもの寝顔を見てから帰れるのが、うれしくて。

  • 寺﨑俊樹さん

    寺﨑俊樹さん

    ボランティアの方やハウスの方に元気をもらえた事などは、さらに有難く感じています。

  • 根本万理さん

    根本万理さん

    子どもに毎日面会できる。私の顔を見て子どもが笑ってくれる。それをハウスは叶えてくれます。

  • 寺田美紗子さん

    寺田美紗子さん

    ハウスがあって、家族一緒に過ごせ、子ども達とじっくり関わる時間が持てました。

  • 平松裕子さん

    平松裕子さん

    ハウスでの出会いは私たち家族の財産です。

  • 斉藤奈保子さん

    斉藤奈保子さん

    家族がバラバラにならずに過ごせるのもハウスがあるから。

  • 山﨑久子さん

    山﨑久子さん

    病院のそばにある自分たちの家みたいです。

  • 宮内ひかりさん

    宮内ひかりさん

    ハウスは家族の強い味方です。

  • 五味美知子さん

    五味美知子さん

    ゆっくり休めるハウスがあったから、娘たちの前では元気でいれました。

ハウス利用者の声

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