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STORY20

ドナルド・
マクドナルド・ハウス
開設20周年に寄せて

医療関係者

水田 耕一 先生

ドナルド・マクドナルド・ハウス(以下ハウス)の開設20周年、誠におめでとうございます。この20年間、全国で多くのご家族がハウスを利用され、病気の子どもたちに長く付き添うことができたのは、ハウスの運用をご支援されている企業やサポーターの皆様、ハウスマネージャーをはじめとするスタッフの皆様、そして昼夜を問わず活動して頂いているボランティアの皆様のおかげであり心から感謝申し上げます。
私が携わっている小児生体肝移植では、ご両親のどちらかがドナーとなり、レシピエントとなるお子さんへ肝臓の一部を提供するため、一つの家族から同時にお二人の入院生活が始まります。ドナーになった親御さんは自分の体の回復がままならない中で、お子さんの術後の経過を心配しなくてはならず、ご自身の退院直後

に病院に隣接したハウスに滞在できることは、ドナーの身体的・精神的負担の軽減に大変助かっています。また、ドナーが入院中は、ドナーにならなかった親御さんが、お一人でドナーとレシピエントのケアを行う必要があるため、術後の経過が不安定な時には、ハウスのボランティアの皆様の優しい気配りや声掛けがどれだけ心の支えになったことでしょう。肝移植を受けたお子さんの入院期間は長期になるため、ご家族にとってハウスの存在は無くてはならないものになっています。また、肝移植後の外来は生涯続くことになりますが、遠方から年に1回、移植施設の外来を受診される患者さんとご家族は、ハウスでのショートステイを故郷への里帰りのように楽しみにされています。

さいたまハウスを利用されたご家族と移植外科スタッフとの退院時写真

私は「とちぎハウス」と「さいたまハウス」で、約15年間ハウスの皆様と関わらせて頂きました。ハウスを訪問すると、いつもボランティアの皆様が生き生きと活動されています。ボランティアの皆様の中には、過去にご家族としてハウスを利用された方が今度はピアサポーターとして活動されているケースも少なくありません。また、ハウスでのボランティアを通してやりがいや自信を学んだ学生さんや、ハウスでの活動を生きがいの一つにされて

いるご高齢の方と接すると、ハウスは患者さんご家族だけでなく、多くの人に優しさと笑顔を届ける場所になっているのだと感じています。
病気の子どもたちの治療にはご家族の力が欠かせません。これからも私達医療従事者とハウスの皆様で力を合わせて、子どもたちとご家族を支えながらFamily-Centered Careに共に取り組んで参ります。ドナルド・マクドナルド・ハウスの益々のご発展を祈念致します。

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お話しを伺った人

埼玉県立小児医療センター
移植センター長 水田 耕一 先生
 
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ハウスは温かい気持ちの
詰まったありがたい存在
ハウス利用者松林 瑠美子さん